憤怒

渡邊朱倫
2020 年 12 月 27 日

先に自白すると、私は某病院に入院中、他の患者が病棟に提供したと思われる「プレジデント」誌の石原慎太郎の顔写真にボールペンでバツを引っ掻き、慎太郎の名前をも同様に削り消した。賠償を請求されることも器物損壊罪(親告罪)で訴えられることもなく、当の「プレジデント」は翌日破棄されたようだ。

慎太郎の如き面の皮の熱い悪党を侮辱するのは、寧ろ倫理に適っていると今でも思っている。書店に置かれている雑誌であれば書店の運営規則が認めないだろうけれども。

私は正義心に駆られてボールペンで慎太郎を侮辱した。一方、侮辱した瞬間、正義心以上に強烈で瞬発的な憤怒を覚えた。そして暫く、精神的疲労が残った。「憤怒すると疲労が後続する」、個人差もあるかも知れないが、賢明な政治活動家等は注意されたい。

精神病棟には已む無く、憤りと疲労を緩和する道具が少ない。作業療法なんぞが本当に精神を治療しているのかは、向精神薬以上に疑わしい。それどころか「テレビ」なる、「プレジデント」誌と同様に憤りを惹起する装置すらある。

医師からは呼吸法を教わった。私見乍ら、呼吸法は安寧の維持にそこそこ効果があるように思える。

一方、精神病棟は慎太郎の如き差別主義者の雑誌こそ、ポルノグラフィ以上に拒絶すべきだと思うのだが。

2020 渡邊朱倫